スタッフルームだより#6
2015.11.27
スタッフルームだより6回目は「原画編」。
お送りするのは前回と同じく制作の山本こと、タクちゃんです!よろしくお願いします!
「原画」とはアニメーションの動きの中のポイントを絵にしたもののことを言います。「原画」という言葉自体は皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。前回ご紹介した「レイアウト」は、画面構成を決めるだけではなく、ラフで描かれた原画である「ラフ原」をもとに、担当原画マンが演出や作画監督に「こういう原画を描くつもりです」と確認を求める場でもありました。
そのようにして原画マンは演出や作画監督のチェックを終えた「レイアウト戻し」を受け取り、修正や指示に従い原画作業に入ります。
レイアウトはフレームの印刷されているレイアウト用紙に描かれ、原画は何も印刷されていない原画用紙に描かれます。原画マンはライトボックスで紙を透かせて作業するので、ご覧のとおりどちらもとても薄いです。
前回の「レイアウト編」の写真にもちらりと写っていましたが、こちらがタイムシートです。原画マンは絵を描くだけではなく動きのタイミングも作っていますが、そのタイミングを指示するためのシートがタイムシートです。
提出された「原画あがり」はカット袋に入れられ、原画チェックに回ります。
レイアウト修正時と同様、片渕監督の指示のもと、演出の浦谷さん、作画監督の松原さんが修正を入れてブラッシュアップし、より良くしていきます。
「原画編」いかがだったでしょうか。次回は「動画」をご紹介します!お楽しみに!
スタッフルームだより #5
2015.11.20
こんにちは!
「この世界の片隅に」制作進行の山本と申します。(制作宣伝の山本さんと苗字がかぶるので「タクちゃん」と呼ばれてます。)
スタッフルームだより5回目は「レイアウト編」をお送りしたいと思います。
参考までに制作のフローチャートをどうぞ。こういった工程で進めています。
【制作フローチャート】
「レイアウト」とはその名の通り、映像の画面構成を決める作業。「原画」作業に入る前に、どんなキャラクターがどんな場所でどんなことをしているか、どこにカメラがあってどのような映像にするかを決めるものです。基本的に、ラフで描かれた原画である「ラフ原画」と、背景の元になる「原図」を合わせて「レイアウト」と呼び、各担当原画マンが作業をします。
このレイアウト作業に入る前に行わなくてはならないのが作画の打ち合わせ、いわゆる「作打ち(さくうち)」です。
【画像02 打ち合わせ室】
スタジオ内の打ち合わせ室で「作打ち」を行います。
【画像03 絵コンテや設定】
「この世界の片隅に」は作打ちは、監督、演出・画面構成、総作画監督、監督助手、担当原画マン・制作で行われます。大量の資料、絵コンテ、設定をみながら、芝居のプランやキャラクター、小物まで細かい打ち合わせを1カットずつ丁寧に行います。
【画像04 作画机】
作打ち後、原画マンは監督や演出たちの説明を元に作業に入ります。こちらがこの世界スタッフルームの作画部ですが、原画マンによって机の様相はさまざま。整頓されていたりそうでなかったり、人によっては本やDVD、お菓子が置いてあったり。個性が表れます。
【画像05 レイアウト】
こちらがレイアウトです。
【画像06 07 レイアウト修正】
原画マンが描いた絵に、片渕監督の指示の元、演出の浦谷さん、作画監督の松原さんが修正を入れていきます。必要であれば芝居の修正も行います。
原画作業に入る前段階でも、ここまでチェックや修正が行われているのです。
それでは次回もお楽しみに!
スタッフルームだより #04
2015.10.16
こんにちは。制作プロデューサーの松尾です。
スタッフルームだより4回目も引き続き『冬の記憶』からカットをご紹介します。
【中島本町商店街 レイアウト原図】
クリスマスの中島本町商店街。当時の時代背景を考慮して、時系列を変更したカットです
(原作では昭和9年1月。劇場本編では12月に変更しています)。
【中島本町商店街 スチール】
繁華街を思わせるにぎやかなカットです。大勢のキャラクターが万遍なく動きます。
真ん中にいるのがすずさんです。原作と見比べてみてください。
【中島本町商店街 背景】
中島本町商店街の背景。実際には3秒程度の短いカットですが、しっかり描きこまれています。
また、こうして見ると1枚ですが、実際には何枚もの絵を層状に重ねることによって構成されています。
【背景スタッフの机】
担当背景スタッフの机。上述の背景は手描き筆によって描かれています。
【作画さんの机】
担当作画スタッフの机。ここにも原作のコピーや、資料写真が見受けられます。
次回からは作画さんの机を覗かせてもらいながら、現在進行中のカットをご紹介していきます。
スタッフルームだより #3
2015.10.09
こんにちは。
制作プロデューサーの松尾です。
『冬の記憶』から、中島本町(現・広島平和記念公園)のカットをご紹介します。
【カット18大正屋呉服店】
まずは本編画像から。真ん中にある洋風の建物が『大正屋呉服店』、
現・広島平和記念公園のレストハウスです。
レストハウス以外の建物を、今は見ることができません。
【レイアウト原図 カット18の1】
レイアウト原図カット18の1
カット1と同様、原作にないところは調べて描かねばなりません。
その中でも、もっとも苦心したのがカット18です。
【レイアウト原図 カット18の2】
その2。中島本町はレストハウス以外の建物が残っておらず、写真資料も少ないのですが、
広島のサポーターさんのご紹介で当時住んでいた方々に聞き込みすることができました。
それを元にいくつものパターンを描き上げています。
【レイアウト原図 カット18の3】
その3です。制作準備中ということもあり、指摘された間違いを随時修正していきました。
【レイアウト原図 カット18の4】
その4。まだまだ直します。ちなみにアニメーションの仕事で、これほど同じ絵を直し続けることはまずありません。準備期間が結果的に長くなってしまったためできたことですし、一方でここまで調べて修正するという監督の意気込みが伝わってくる部分でもあります。
『冬の記憶』では今はなき昭和9年当時の中島本町が再現されています。
視聴後に平和記念公園に行ってみるのもよいかもしれません。
次回の更新もお楽しみに。
スタッフルームだより #02
2015.10.02
こんにちは。
制作プロデューサーの松尾です。
今回は、『この世界の片隅に』の原作冒頭「#1 冬の記憶」部分のカットをご紹介しつつ、マンガのコマからどのようにアニメーションの画面を構築していくのかを見ていただきます。
【原作1コマ目】
原作『この世界の片隅に』の1コマ目です。原作では縦長の画面ですが、アニメーションではこれを横長の画面に設計し直す必要があります。
【レイアウト原図 カット1】
1コマ目のすずさんの周辺には何が存在したのかを調べて描かれた絵コンテを元に、原画マンによって描かれたレイアウト原図・カット1。縦長の画面を横長にしています。これはすずさんたちが動く原画と背景の下絵でもあります。
【背景 カット1】
レイアウト原図を元にして描かれた背景・カット1。広島特有の白っぽい土、瀬戸内海特有の青い海が再現されているのがわかります。
【場面写真 カット1】
色つきのキャラクターと背景を、監督による指示のもと撮影したのがこちらの画像。原画、動画の工程を経てここに行き着きました。観客の皆さんに「動いている絵」として御覧いただくのはこちらです。
ここまで順を追ってみていただきましたが、いかがだったでしょうか?
次回の「スタッフルームだより」でも、「冬の記憶」のカットをご紹介いたします。お楽しみに!
スタッフルームだより #01
2015.10.02
『この世界の片隅に』スタッフルームをご紹介します。
【『この世界の片隅に』スタッフルーム 入り口】
スタッフルームの入り口、最新のポスターが出迎えてくれます。
【『この世界の片隅に』 入り口2】
ドアを開けると、スケジュールボードと文房具コーナーが。
【作画机1】
作画チームの机。日々粛々と作画を進めています。
【作画机2】
作画チームの机2。おかげさまで作画スタッフは制作支援メンバーミーティングの開催時点から、さらに増えました。
【作画机3】
作画チームの机3。今後は他の部署もご紹介していきます!
【次回予告】
次回の「スタッフルームだより」では冬の記憶を題材に、制作過程や現在作業中の内容などをレポートしていきます。
これからも、映画『この世界の片隅に』の情報を発信していきますのでお楽しみに!
よろしくお願い致します。