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映画「この世界の片隅に」公式サイト

ニュース

2025.09.12

終戦80年上映「この世界の片隅に」ポスター(B1サイズ) オンライン販売スタート!

大好評につき、東京・大阪の一部劇場でのみ販売していた

終戦80年 リバイバル上映『この世界の片隅に』
【B1サイズポスター】が、ついにオンライン販売スタート!

全国から寄せられた熱いリクエストにお応えして、数量限定でご用意いたしました。
お部屋やリビングに飾れば、作品の感動がいつでも蘇ります。

この機会にぜひお手元へ!

 
【商品名】
終戦80年上映「この世界の片隅に」ポスター(B1サイズ)
※B2サイズの販売はございません
 
【価格】2,000円(税込)
※おひとり様2枚まで
※別途送料がかかります(地域ごとに異なります)
※B1サイズ:横728mm × 縦1030mm
 
※無くなり次第販売終了となります
 
▼ご購入はこちらから▼
 

2025.09.05

終戦80年上映『この世界の片隅に』ムビチケオンライン券(前売券・鑑賞券) 利用についてのお知らせ

終戦80年上映『この世界の片隅に』の上映に際し販売いたしました

ムビチケオンライン券(前売券・鑑賞券)の利用についてお知らせいたします。

 

終戦80年の全国リバイバル上映は終映いたしましたが、

9月に上映が決まっております一部劇場にて引き続きご利用いただけます。

 

■9月上映劇場

<ムビチケをご利用いただける劇場>
港南台シネサロン 
シネマ・ジャック&ベティ

 

<ムビチケをご利用いただけない劇場>
シネマ・ヌーヴェル  金星シネマ  ヱビスシネマ 

 

※注意※
ご利用可能劇場でも、イベント付き上映が決定した場合など
ご利用いただけない日が発生する場合がございます。
詳しくは上映劇場へご確認ください。

 

なお、10月以降に上映開始となる劇場ではご利用いただけませんので、

ご注意いただきますようお願いいたします。

ぜひ、引き続きすずさんたちに会いに劇場へお越しください。

お待ちしております。

 

2025.09.02

『この世界の片隅に』が伝える“正確に描く意志”──終戦80年リバイバル上映 片渕須直監督ファイナルトークショーレポート

8月28日、テアトル新宿にて映画『この世界の片隅に』リバイバル上映のファイナルトークイベントが開催されました。8月1日から始まった再上映は、終戦80年という節目に合わせ全国で展開され、約1か月にわたり多くの観客の皆さんに支えられてきました。

 

この日で20回目となるイベントを迎え、会場は満席に。温かな空気に包まれた劇場には、初めてスクリーンで本作を体験する方から、何度も足を運ばれた方まで幅広い観客の皆さんが集いました。

 

片渕須直監督は冒頭、「8月1日からの上映が、本当に充実した4週間になりました。こうして皆さんと最後の時間を共にできて光栄です」と挨拶。その言葉に、会場からは大きな拍手が送られました。

 

 監督は全国での舞台挨拶やサイン会で寄せられた声を紹介。

「9年前は子どもが小さくて来られなかったけれど、今回は親子で来られた」「幼かったお子さんが成長して、一緒に観られるようになった」という体験談を受け、「80年前の出来事を描いた映画が、今を生きる人々の生活と結びつき、未来へと受け継がれていくことを実感できた」と語りました。

 

さらに、2016年公開当時に映画評論家・佐藤忠男氏が寄せた評論を紹介。

佐藤氏は終戦時に14歳で地方都市に暮らしていた体験者であり、その視点から本作について「これは基本的にリアリズムの道を歩む進む美術作品で、太平洋戦争末期の日本人の生活を正確に克明に描こうという意思で一貫している。そこには殆ど、これを記憶として後世にまで伝えたい、そういう価値のあるものにしたい、という意志がくっきり感じ取れる。」と評しました。

 

監督は「実際に戦争を体験された世代から“正確に描かれている”と評価いただけたことは、かけがえのない証明でありありがたいことでした」と振り返りました。そして「こうの史代さんは原作を描くにあたり“自分は戦争を知らないから、一から勉強し直した”とおっしゃっていて、その誠実な姿勢がこうした評価につながったのだと思います」とも付け加えました。

 

佐藤氏は評論の中で「当時、人々はなぜあれほどまでにおとなしく従順であり得たのか」という疑問を投げかけています。そして、「皆じつに素直で、疑うことなく戦争にも順応していたものである。(中略)何の疑問もなく、と言うよりは疑問の持ち方を知らず、(中略)あの何も考えることのない、何を考えたら良いのかも分からない。考えるべきことの手がかりさえ見当たらない日々としての、あの時代の我々の頭の空っぽさを、この映画ではまざまざと思い出すことが出来る。」と評しました。

 

片渕監督はこの言葉を受け止めつつ、「すずさんの“ぼーっとしとる”という言葉は、単なる夢想ではなく、時代そのものが抱えていた従順さみたいなもの、しいて言うとするなら至らなさみたいなところを表しているんです。英語字幕で“デイドリーマー(夢想家)”と訳されることが多々ありましたが、それは違うんですと、私は繰り返し伝えてきました」と思いを伝えました。

 

さらに監督は、声優・のんさんへの演出エピソードを披露。

「最初のマイクテストの際に、すずさんをどう演じればいいかと質問されました。そのとき私は“すずさんは2階建ての人物”だと説明しました。表に見える“1階”のすずさんはぼーっとした日常を生きていますが、その下の“地下”には本当のすずさんがいて、彼女の右手を失う頃から徐々に姿を現してくる。そう演じてほしいとお願いしました」と語り、会場は静かに聞き入っていました。

 

こうした評論と監督の言葉、そして演技の裏側が重なり合うことで、本作が「時代を正確に描き、未来に伝える意志を持った作品」であることが改めて会場に深く刻まれました。

 

最後に、監督は「この映画は自分たちの意図を超えて、未来に残っていくべき作品になったと感じました。終戦80年上映としては一区切りを迎えますが、9月以降も全国各地で上映が続いていきます。ぜひ身近な方に薦めていただき、また劇場でお会いできれば幸せです」と締めくくりました。

2025.09.01

潘めぐみさん・片渕須直監督が登壇!『この世界の片隅に』リバイバル上映【ファイナルトークショー レポート】

涙と拍手に包まれた夜

──潘めぐみ×片渕須直、終戦80年に語る『この世界の片隅に』ファイナルトークショー

 

テアトル新宿で行われた『この世界の片隅に』ファイナル上映のトークイベントに、浦野すみ役の潘めぐみさん、監督・脚本の片渕須直監督が登壇しました。2016年の公開から9年。“終戦80年・すずさん100歳”という節目に迎えたこの夜は、作品と観客が深く呼応し合う特別な時間となりました。司会は制作宣伝の山本和宏さん。

 

上映が終わり、潘さんと片渕監督が姿を見せると、会場は大きな拍手に包まれました。
潘さんは「皆さん、お久しぶりです。そしてはじめまして。浦野すみ役の潘めぐみです。本日はよろしくお願いいたします」と挨拶。片渕監督も「今夜もこんなにたくさんの方に集まっていただき、本当にありがとうございます」と笑顔を見せました。

 

 

トークは9年前の公開から今日までの歩み、そして“これから”に向けた想いへと広がりました。
潘さんは「10年後も、この先もずっと、すずちゃんに会えたらいいなと、当時の舞台挨拶でも話していましたが、もう9年になるんですね。こうして再会できて本当にありがたいです」と胸の内を語り、片渕監督は「映画館を巡るたびに“自分ひとりではない”と確かめられた。ずっとその道のりを歩んでこれたことに感謝しています」と言葉を重ねました。

 

 

客席には「今日が初めての鑑賞」という観客がおよそ30名、「10回以上観ている」というリピーターも多数。若い世代が手を挙げる姿に、潘さんは「伝えていくことの大切さを実感している今、この作品と出会っていただけるのは本当に意味のあること」と噛みしめるように話しました。

 

司会から「すみちゃんは、唯一“すずちゃん”と呼ぶ唯一無二の存在でした。すずさんとの印象的なシーンは?」と問われると、潘さんは「布団の上で姉妹が秘密を打ち明け合う場面が特に心に残っています。すみちゃんの小さな恋心と、すずちゃんの頭をのぞき見てしまったような、姉妹ならではの距離感を感じました。そしてラストで『うち、こんなよ…治るかね』と語る場面。あれは弱音ではなく、すずちゃんにだからこそ見せられた本音。すずちゃんが返してくれる言葉があれば、私はいくらでも生きられるという想いを込めて伝えました」と答えました。

 

片渕監督も「悲劇を描くことを避け、観る人に委ねる余白を残したいと原作のこうの史代さんもおっしゃっていて。すみちゃんが取り乱さず、あくまで日常の延長として語ることに意味がある」と補足しました。

 

 

潘さんはアフレコ当時を振り返り「広島弁に苦戦しましたが、サンさん役の新谷真弓さんから方言指導を受けながら“すずちゃんと本当に会話している”と感じられました」と回想。片渕監督は「実は声優陣は全員バラバラに録音していたのです。のんちゃんのすずさんを最後に収録したとき、まるで最初から掛け合いをしていたかのように声が自然に重なった。託す側と受け取る側、その往復で一本の音になった」と語り、会場からは感嘆の声があがりました。

 

さらに「もし物語の時間が現実と同じように進んでいたら、すずさんのひとつ下のすみちゃんは今年28歳。潘さんが声をかけるとしたら?」との問いに、潘さんは「きっとあの時の将校さんと再会して、仲睦まじく元気でいてほしいです。持ち直す前は、箸を近くに持っていたすみちゃん。きっとあの将校さんも近くに住んでいるんじゃないかな。幸せに暮らしているといいなと想像を巡らせています」と柔らかい笑顔を浮かべました。

 

 

終盤には観客全員で「すみちゃん、おかえりなさい!」と声を合わせる記念撮影が行われ、会場は温かな空気に包まれました。潘さんは最後の挨拶で「今日、この『おかえりなさい』が本当に胸に響きました。もう一度言おうかな…」と涙声でつぶやき、会場に向かって「ただいま!」と叫びました。その瞬間、堰を切ったように涙があふれ、言葉を続けられないほどに。観客席からもすすり泣きが広がり、会場全体がひとつの感情に揺れました。

 

涙を拭いながら潘さんは「百年後の世界がどうなっているか分かりませんが、この映画はきっと在り続けているはずです。この普遍的な想いが込められた物語を、どうか次の世代へ託して、伝えていただけたら嬉しい。観てくださる方がいる限り、すみちゃんもスクリーンのなかで笑顔で生き続けると思います」と言葉を結びました。

 

 

片渕監督は最後に、すみちゃんがエリザベス女王やマリリン・モンローと同い年であることに触れ、「すみちゃんたちの世代は、これから人生が花開いていく世代なんだと改めて感じました。人の人生があり、時の流れがあり、それはずっと続いていく。おそらく今も続いているでしょう。僕らがいなくなっても映画は映り続け、皆さんもその流れの中にいる。そう思えることが一番ありがたく、嬉しい」と言葉を結びました。

 

そして最後に司会の山本さんが声を震わせながら「お二人の言葉にあった通り、戦争を知る人がいなくなっても、この作品があれば想いは生き続ける。命には限りがありますが、作品は皆さんの心の中で生き続けます」と涙ながらに語りかけると、客席からは割れんばかりの拍手が沸き起こりました。

 

涙と拍手が交錯するなか、終戦80年上映『この世界の片隅に』ファイナル舞台挨拶は幕を閉じました。9年の時を経てもなお、この作品は観客と共に生き続け、未来へと託されていきます。

2025.08.26

緊急決定!「終戦80年上映《すずさん、またね》特製ポストカード」をリバイバル上映ファイナル2夜連続トークショーにてプレゼント!!

夜の呉の町、灯のともるわが家へと向かうすずと周作たち。


終戦 80 年という節目に再び全国のスクリーンに帰ってきたすずさんも

8/28(木)の終映後、一旦家族の待つわが家へ帰ります。

 

「すずさん、またね」

そんな気持ちを一枚のポストカードに託しました。

 

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【入場者特典】

終戦80年『この世界の片隅に

《すずさん、またね》特製ポストカード

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リバイバル上映ファイナルのトークショー付き上映を

ご鑑賞のお客様へプレゼントいたします。

 

◆配布開始 2025年8月27日(水)・8月28日(木)限定

配布劇場 テアトル新宿

※おひとり様1回の上映につき1枚のお渡しとなります。

2025.08.20

終戦80年『この世界の片隅に』リバイバル上映ファイナル 2夜連続トークショー開催決定!

8月1日(金)から全国で再び幕を開けた

『この世界の片隅に』リバイバル上映は、

8月28日(木)でついに一区切りを迎えます。

 

たくさんの方々が本作に出会ってくださったこの1か月の感謝を込めて、

テアトル新宿では、片渕須直監督による2夜連続の

トークイベントを8月27日(水)、8月28日(木)に開催いたします。

さらに、8月27日(水)には、

すずさんの妹・浦野すみ役を演じた潘めぐみさんも登壇決定!

ここでしか聞けない物語の裏側を、どうぞご期待ください。

 

なお、8月28日(木)最終日のイベント終了後には、

本作のパンフレットやポスターなどの関連グッズをご購入された方、

またはご持参いただいた方を対象に、

片渕須直監督のサイン会を実施いたします。

 

すずさんたちのささやかな日常と、そこに流れるあたたかな時間。

この夏の記憶として、あなたの心に残しませんか。

皆様のご来場をお待ちしております!

 


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▼イベント情報▼

◆実施劇場:テアトル新宿

※より詳細は情報は劇場ホームページをご確認ください。
https://ttcg.jp/theatre_shinjuku/topics/2025/08201200_31472.html

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◆8月27日(水)18:30の回 上映後 トークイベント(約30分)

 登壇:潘めぐみさん(浦野すみ役)、片渕須直 監督


<チケット販売方法>

オンラインチケット予約、劇場窓口にて販売いたします。

<販売スケジュール>

・オンライン販売⇒ 
8月25日(月) 0:00より販売開始

・劇場窓口販売 ⇒ 
8月25日(月) 劇場オープン時間 より販売開始
(残席がある場合に限る)

 

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◆8月28日(木)18:30の回 上映後

 トークイベント(約20分)+ロビーにてサイン会

 登壇:片渕須直 監督


<チケット販売方法>

オンラインチケット予約、劇場窓口にて販売いたします。

<販売スケジュール>

・オンライン販売⇒ 
8月26日(火) 0:00より販売開始

・劇場窓口販売 ⇒ 
8月26日(火) 劇場オープン時間 より販売開始
(残席がある場合に限る)



<サイン会実施おける注意事項>

◎以下の商品へのサインとなります。
 すでに購入済の方はご持参ください。

 『この世界の片隅に』
 ・パンフレット
 ・終戦80年上映版ポスター(B1・B2サイズ)
 ・公式カレンダー
 ・公式トートバッグ


◎劇場でのパンフレット・ポスターの販売数には限りがあります。
 売り切れの場合はご了承ください。

◎複数冊ご購入・持参いただいた場合も、
 サインはお1人様1冊のみとなります。


◎当日の混雑状況によっては、お時間を要する可能性がございます。
 お並びいただいた一人でも多くの方に
 サインができるように、ご協力をお願いいたします。

◎サイン会中は混雑が予想されます。
 マスクの着用、手指の消毒など
 感染症対策にご協力をお願い致します。




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2025.08.14

終戦80年リバイバル上映『この世界の片隅に』ポスター販売!

多くのご要望をいただいておりましたポスターの販売が、急遽決定いたしました。

数が限られておりますため、販売劇場は、テアトル新宿、テアトル梅田の2館となります。

デザインは、本上映に向けて片渕須直監督が書き下ろしたキービジュアル!

この機会にぜひお買い求めください!(各館上映最終日までの販売となります)

 

 

【販売場所】

テアトル新宿

〒160-0022

東京都新宿区新宿 3-14-20 新宿テアトルビル B1F

Tel : 03-3352-1846

 

テアトル梅田

〒531-6003

大阪府大阪市北区大淀中 1-1-88 梅田スカイビルタワーイースト 3・4F

Tel : 06-6440-5930

 

【販売価格】

・B全サイズ 2,000円(税込)

・B2サイズ  1,500円(税込)

 

※販売期間は本作上映期間内となります。

上映終了日は劇場ごとに異なりますので、各劇場の公式サイトよりご確認下さい。

2025.08.10

細谷佳正さん・片渕須直監督が登壇!『この世界の片隅に』リバイバル上映【公開記念トークショーレポート】

8月7日に東京の109シネマズプレミアム新宿で、公開記念トークショーが実施され、すずの夫・北條周作役の声優を務めた細谷佳正さん、そして片渕須直監督が登壇しました。

 

2016年の劇場公開以来、改めてお二人が並んで観客の前に立つのは初めて。「まるで昨日のことのような感覚もありつつ、確かに時間が経ったことも実感します」――そう語るお二人のやりとりからは、作品への深い愛情と、“すずと周作”が時を超えて生き続けているかのような思いが伝わってきました。

細谷さんは冒頭、「広島の尾道出身なので、小学生の頃、平和学習で戦争映画を観た経験がありました」と自身の原点に触れつつ、「この作品がそうした平和教育の一助になるような映画になればと願って演じてきました。それが9年経って、終戦80年の節目にまたこうして劇場で観ていただけるとは、当時思い描いていた未来が実現したようで嬉しいです」と笑顔を見せました。

 

これに片渕監督も応じ、「戦争の時代がどんどん遠くなっていく中で、何とかその記憶をつなぎとめたいという想いをこの作品に込めました」と語りました。「呉や広島の町に当時どんな暮らしがあったのかを、できる限り忠実に描こうとしたんです。こうして映画が9年経っても“現役”でいられるのは本当にありがたいです」と、再上映への感慨を述べました。

アフレコ時のこだわりについても、貴重な裏話が。本作のアフレコが始まったのは2016年5月、最初にマイクの前に立ったのは、周作役の細谷佳正さんと、円太郎役の牛山茂さんでした。一方、すず役ののんさんが収録に臨んだのは約3ヶ月後の8月で、劇中で夫婦を演じたお二人のアフレコには実に3ヶ月の時間差があったことになります。


細谷さんは「アフレコをした頃は、ちょっと生意気な青年だったので…(笑)」と笑いつつ、「“人が自然とそこに存在しているような芝居がしたいです”という話をさせていただきました」と振り返りました。「当時はまだすずさん役が決まっていなかったのですが、きっと女優さんがされるんじゃないかと思っていて。女優さんの芝居はナチュラルで、声優の芝居は“ちょっと盛ってる”って思われたら嫌だなっていう、若いなりのプライドがあって。まだ会えないすずさんを想像しながら、“普通な会話のやり取りになれたら”という意識でやらせていただいてました」と真摯な表情で語りました。

 

片渕監督は「その細谷さんの“自然にそこにいる人”という芝居の基礎があったからこそ、他のキャストがその空気感を受け継げたと思います」と応じ、「細谷さんの声が全体のリアリティを支える大きな軸になりました」と感謝を述べました。

 

また、片渕監督は「ガンマイクを用いて、演者の“息遣い”を拾いながら収録した」と明かし、通常の声優収録とは異なり、マイクが見えない状況下で“まるでその場に存在するように”演じた細谷さんも、「信頼されていると感じました」「細かなニュアンスもすべて汲み取ってくれる環境だった」と当時を思い返していました。

 

また、印象的なシーンの話題になると、細谷さんが「年齢を重ねて気づくことがたくさんあり、9年前とは違う感情が湧き上がりました」と語り、改めて心を揺さぶられたのが、すずさんが終盤に周作さんに向けるあのセリフ――「ありがとう。この世界の片隅に、うちを見つけてくれて」だったと明かしました。

 

「聞いた瞬間、ちょっと涙が止まらなくなっちゃって……」と声を詰まらせた細谷さんは、「あの時代って、教育がガチガチだったと思いますし、女性が今のように人生を自由に選べる環境ではなかったと思うんです。言われるがままお嫁に行って、流されるがままに生きて、それで戦争でも傷ついて、大切なものをなくして。それがあった後にあのラストシーンを見ると、“何が正しくて、どう生きるべきか”っていう混乱があったと思うんですけど、その中で確信を得た言葉――周作に出会えて、あの言葉を言うっていうのは、本当に尊いなと感じます」と話しました。


片渕監督も「すずさんはそこで初めて、自分が住む場所と、これから歩んでいく道を見つけたという感じですよね」と静かに頷きました。
「今もちょっとうるっときてるんですけど、思い出すとやばいですね」と語る細谷さんの姿からは、時を経てなお作品に寄り添い続ける誠実な想いがにじんでいました。

終盤には、観客の笑いを誘う“もしも”の話も展開されました。

公開から9年――もし作中でもすずさんと周作さんが同じ年月をともに過ごしていたとしたら?という話題に触れた細谷さんは、先日の舞台挨拶で、のんさんがすずさんになりきって語った言葉を引き合いに出しながら、「すずさんとは夫婦なので、子どもが16歳になって“物を言うようになった”っていうのは、当然本当ですね」と笑いを交えながら回答。

片渕監督は「たぶん周作さんはすずさんの尻に敷かれているんじゃないかな」と語り、会場は和やかな笑いに包まれました。

 

最後に、細谷さんは「情報過多な今、新しいものがどんどん生まれていく中で、この映画は“消費されるもの”というより、“心に残る作品”という印象が強くて。そういうものに関われて本当に光栄だなと思っています。多くの方に劇場で観てほしい作品です」と力強く語りました。

片渕監督も、「“そこに本当に人が生きている”と感じられるような世界をつくりたいと思って制作しました。呉や広島の街に立つすずさんや周作さんの息遣いや、ご飯の炊ける音、飛行機の飛ぶ音――そんな日常のすべてが重なり合って、ひとつの“世界”になっていく。それを、細谷さんをはじめとする多くの方々の力によって実現できたと感じています。9年経ってもなお、映画館で観てほしい作品だと心から思っています。何十年先にもこの作品を観ていただけたら、それは僕らにとって何よりの喜びです。すずさんと周作さんも、きっとその世界の中で、これからもずっと仲良く暮らし続けているはずです」と締めくくりました。

 

この日語られた一つ一つの言葉は、すずさんと周作さん、そしてこの作品が「今も生きている」ことを、何よりも雄弁に物語っていました。

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