メニュー

映画「この世界の片隅に」公式サイト

レポート

コミティア「トークショー&レイアウト原図展」レポート

2015.05.14

5月5日(火)に、東京ビッグサイトで開催された同人誌即売会「コミティア112」で、【『この世界の片隅に』アニメ映画化クラウドファンディング応援企画「トークショー&レイアウト原図展」】が行われました。

展示されたレイアウト原図は約90点。トークショーには立ち見を含め、200人以上が来場しました。

 レイアウト原図展には、開場直後からたくさんの見学者が訪れ、一枚一枚熱心に見入ったり、居合わせた片渕監督から解説を受ける姿が見られ、コミティア終了時間まで終始賑わっていました。

DSC07215

 

トークショーは、片渕監督が作品制作の為にこれまで調べた資料をスクリーンに映しながら説明していきます。

原作第1話の1コマ目が映し出され、「漫画のコマは自由で、このコマは縦横ほぼ1:1。でも映画の画面は1:1.85なので、左右を足さないといけない。こうの史代先生は漫画を描くにあたって本当に良く調べられていて、「特定の場所」として描いている。なのでまずその場所を探して、そこに何があるのかを確認してきました」と詳細な調査が必要な理由を説明。

DSC07227

こうした「原作から読み解く」検証作業を続けた監督ですが、変わってしまった風景もあるとのこと。原作にも描かれている「中島本町」もその1つ。スクリーンに映しだされたその場所は、現在の広島の平和記念公園。原爆で失われてしまったこの中島本町を再現する為に、「今の広島を知っているだけではダメなんです」と語る監督。現存する当時の写真や地図、その街に暮らしていた方々へのリサーチ等、出来る事は徹底的に行ったそうです。こうして描かれた中島本町アニメーションが、今回特別に公開されました。わずか数秒でしたが、観客席からは感嘆の声が上がりました。

 

しかし、これだけ徹底して調べても判明しないものとして、昭和19年の広島駅の木造の増築部分が挙げられました。この部分は原爆で焼失しています。アメリカ軍の偵察機が撮った航空写真は見つけたものの、構造自体が不明な為に再現できないそうです。

 

作品の主な舞台となる呉市についても、徹底的なリサーチが行われました。圧巻だったのは、呉軍港に入出港していた軍艦のリスト。原作の「昭和19年4月」の回で、主人公・すずさんと夫の周作さんが段々畑から戦艦大和を見ているシーンで、「4月に大和はここにいたのか?」という疑問から調べ始め、17日に実際に入港したことを突き止めた後、「他にどんな艦がいたのか?」と更に調べ続けたデータには、1日ごとにどの艦がどの場所にいたのかがリスト化されていました。「なんでこんなことするんですか?と良く聞かれるんですけど、わからないと描けないんですよ。でもおかげで、呉の軍港について良く知ることができました」と語る監督。艦船の停泊位置を示す軍港内のブイや、ドックに入っている艦船まで詳細に調べ上げられたデータには、思わず「欲しい!」という声が観客席から上がっていました。

 IMG_8352

「僕は愚直に、『この世界の片隅に』の世界を作っていって、その中をすずさんが歩いたり走ったりするようにするべきではないかと思っています」と話す片渕監督。「2010年から『この世界の片隅に』映画化に向けて動き出してから約5年。いろいろと調べる事は出来ましたけど、アニメーションを取り巻く情勢から、なかなか制作が進まなかったのも事実。パイロットフィルム制作の為、そしてこの作品をよりたくさんの人に知ってもらう為に始まったクラウドファンディングですが、目標額を達成した後も応援して下さる人が増え続けています。この作品に期待を寄せる皆さんがそれだけたくさんいらっしゃることを示しており、制作へ向けての大きな力になっています」

この勢いをきっかけに、すずさんの子供時代を描いた『冬の記憶』パートの作画も始まっており、広島で協力していただいたご高齢の方々に、この短編を観てもらいたいと語る片渕監督。

最後に「7月に予定されているファンミーティング*では、5分程度のPVも流せるよう頑張っていますので、これからもよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました!」と挨拶し、トークショーは締めくくられました。

 

アニメーション映画『この世界の片隅に』は、2016年の公開を目指しています。

Makuakeでのクラウドファンディングは、5月29日(金曜日)までの期間終了まで継続中です。作品制作への応援、どうぞよろしくお願い致します。

 

 

*ファンミーティング

クラウドファンディングに参加した方に向けて行われるイベント。

今年7月に、東京、大阪、広島の三カ所で行われる予定。

詳細はMakuakeプロジェクトページまで

ページトップ 劇場情報